投資詐欺キングの手口は?

またまた高齢者を狙った詐欺事件がありましたね。
自らを「キング」と名乗る男があり得ない金利を付けると約束して高齢者からお金を巻き上げました。
いったどういった手口なのでしょうか?
もくじ
キングの逮捕容疑
2016年7月から約1年間の間にキングこと銅子正人は主に高齢者を相手に「1口100万円出資すると、毎月3%の配当が支払います」さらに「1年後には元本償還かまたは契約継続か選べますよ」と言葉巧みに誘い、愛知県に住む60~70代の男女3人から約6400万円をだまし取った疑いで逮捕されました。
これだけではなく、全国の高齢者ら約13,000人から総額約4600億円を集めたとも言われています。
テキシアジャパンホールディングスはどんな会社なの?
「日本元気プロジェクト」と銘打って出資を募っていました。
出資すれば月3%の配当金を「元気玉」と名付けて還元を約束していたそうです。
事業の実態はなく、世界平和や東日本大震災からの復興につながると呼びかけて会員を増やしていました。
最初から詐欺目的で会社を設立したと思われます。
「元気玉」って?まるでドラゴンボールじゃないですか?
さも、特別だよ感を出して誘っていたようです。
毎月3%の利息だと一年間で36%になるのですが、そうなると出資法違反にあたるそうで、テキシアジャパンホールディングスでは出資の際に交わす書類を「出資契約書」ではなくて「借用書」にすることで元本保証とうたっても出資法違反にはならないように画策していたようです。
さらに悪質なのは、もし万が一会社が倒産したときでも「借用書」という形をとっておけば10%までしか利息支払いの義務がなくなるということも考えたのではないかと言われています。
そして、実はテキシアジャパンホールディングスは以前に投資詐欺で捕まった会社の後継会社だったということがわかりました。さらに、今テキシアジャパンホールディングスが投資詐欺で逮捕者出したことで続けていくことができなくなったので、次なる後継会社ができているらしいです。次から次へと形を替えていく詐欺集団、犠牲者が増えるばかりでしょうね。
テキシアジャパンホールディングスの勧誘方法
毎月3%の利息で会員になった人を使い、会員が知人などを勧誘してテキシアジャパンホールディングスに紹介する、という形をとって、その見返りに紹介料を支払う手法で会員を増やしていき資金を集めたそうです。
キングは歌手という顔も持っていて歌がとても上手です。高齢者の方々をショーに招待して心に刺さる歌でも勧誘をしていました。マインドコントロールな感じなのでしょうね。
「生きてるだけで~まるもうけ~♪」ってさんまさんの言葉じゃないですか!!
特別なシーンで高揚した気分にさせ、そのまま投資にも誘ってくる。周りの雰囲気もあり、自分も参加したいという気持ちになってしまうのだと思います。
わかる気がします。ある意味キングのファンになってしまうのでしょう。カリスマ的存在ですね。
逮捕された中には暴力団幹部や元岡山県警の警察官までいたということにびっくりしました。
暴力団の資金源になっていたのは明白ですがさらに元警察官迄が関与していたとなるとあきれてしまいますね。
テキシアジャパンホールディングスの組織図としてはまさにねずみ講のようでした。
一般会員が出資した金が配当金にも使われていたという典型的な自転車操業ですね。
300万円を出資した50代の男性は「私が誘った人もいますので、その方たちに対しては私が今、個人で返しています」と語っていました。
テキシアジャパンホールディングス銅子正人容疑者。
ゴレンジャーとか元気玉とかセンスが小学生男子っぽい。「5レンジャー」
「キング」
「元気玉」
「子キングたちよ、魂の中に眠っていた熱い想いを呼び起こせ」https://t.co/r3C9WPJ3Y4 pic.twitter.com/Ul0iQMPddq— さかなさくらねこ (@sakanasakura0) 2019年2月14日
キングってどん人物なの?
「キング」と自らを名のるのはテキシアジャパンホールディングスの会長を務める銅子正人という人物です。
銅子正人はいったいどんな人物なのでしょうか?
キングのプロフィール
職業:テキシアジャパンフォールディングス会長(投資会社)
名前:銅子正人(どうこまさと)
愛称:キング
年齢:41歳(2019年現在)
出身:福井県
在住:シンガポール
キングの3つの顔
銅子正人には今分かっているだけでも3つの顔があります。
- テキシアジャパンホールディングスの会長
- スピリチュアルシンガー「歌で想いを届ける、心を繋ぐ」をキャッチフレーズにCDをリリース
- 宮司(群馬県渋川市の神社)
全部どれも怪しいですね。
3つの共通点を無理にでも見出すとしたら、いずれも人の心に語り掛けるってこと?
出資者がキングを信じてしまったのはなぜ?
キングがどうしてここまで会員の心をつかんだのかというと、本来なら手の届かないような存在のキングなのに、会員の悩みを直に聞いてくれて、自分にとっては「神」の存在だと思っている人が少なくないようです。
45歳の男性は、まず友人に誘われ無料の食事会に行ったそうです。2度目の食事会で会員から出資者の成功体験や「キングが祈ると出資者の妻のがんが治った」など凄いエピソードを聞かされ、後日の説明会で100万円を出資したそうです。
この出資者の男性は自身の家族の悩みなどでうつ状態だった時に直接キングに話を聞いてもらい、号泣しました。キングから『希望』と色紙に書いてもらい「元気になって」と現金13万円も一緒に貰い神様のような存在だと感じたそうです。その後のライブの時にもさらに『愛』という言葉を書いた色紙をもらい、キングはこの男性にとってなくてはならい存在となったようです。『希望』と『愛』の色紙は額に入れて現在も家に飾ってあるそうです。
このことによって、キングは「お金」だけではなく「心」まで奪ったんですね。
会社のトップであるキングが一般会員の悩みを聞いて親身になってあげれば心が動きますよね。
こういった手口はよくあるそうで、人の弱みにつけこんで心を奪っていくやり方なんだそうです。絶対信者になってしまいますよね。
男性は出資当初の3か月分(9万円)の配当は貰ったそうですが、その後の配当は止まっていました。しかし遅れるという連絡を受けていたので疑うことはなかったんです。今でも騙されているのかはわからないと言っています。
他の出資者の方もいまだになぜこうなったか分かっていない人が多いそうです。
50代の出資者の女性は、年齢層が上だとお金が頂けたと言っています。
「何歳以上の人は手を挙げて」と言われて該当の人は1万円が頂けたそうです。
そしてお話の中に「ご先祖様を大事にしなくちゃいけない、お墓参りに行かなくちゃいけない」と言われ、それを聞いて「確かにそうだよなぁ」と、出資には全く関係のない話に勝手にキングは良い人というイメージがついてしまったのでしょうね。
『返報性』という人間の心理的性質をついた商法
『返報性』とはどういうことかと言うと、相手に先に物や金をもらったりするとそれ以上に返さなくちゃいけないという心理が働いてしまうそうです。例えばスーパーなどで試食をすると、その商品を買わないと悪いかな?という心理になってしまうそうです。わかりますね、これ。
それと同じで、さきほどの45歳の男性は色紙と一緒に13万円を貰ったことで、これだけ貰ったのだから出資しなくちゃいけないでしょう、という心理になったのでしょう。
さらに『返報性』と一緒になるのが『一貫性』だということです。ブレないことですね。これは絶対に良いものなんだと言い続けることで信じ込んでしまう状況になりました。
詐欺の指南役となった元岡山県警察官は?
キングとともに捕まった元岡山県警の警察官は三好輝尚です。
彼は香川県の小豆島の出身で高校を卒業後に親の勧めで警察官になったそうです。
父親も警察官という家庭に育ったということにもびっくりですが、さらに両親も会員だと説明して出資者を安心させていたようです。
警察官だった当時の担当はなんと『投資詐欺事件』だったそうで、事情に詳しかったからなのかは知りませんがあきれてしまいますね。
キングについても「会長は全国を回って必ず私が返しますと言って歩いているんです」「自分の思いのためなら損得関係ないっていう人が世の中にはいるんですけど会長もそういうタイプなんです」と人間性の良さを熱く語っていたそうです。
出資者が「3000億円あるって聞いてますよ、3000億円あるなら、その中からみんなに450億円返してくれたらいいでしょ」という言葉に三好輝尚は「会長はお金持ちのはずなのに、なぜすぐに返せないかというと、会長の個人資産は外貨でシンガポールドルがほとんどなので、シンガポールドルで返すわけにはいかなのでそれを両替するのに今すこし厳しくなっているという情報がある」と切り返した。
出資者が「シンガポールドルでもいいっていう人もいるんじゃないか?」と詰め寄ると
三好輝尚は「そういう人もいるかもしれないが、約束は日本円で預かって日本円で返すことになっているのでやはり両替しないといけない、手間暇がかかるわけです』という苦しい説明を続けた。そして「一人お人物が毎月何十億も両替したら普通国は止めます。会長がいくらお金があってもそれを日本に持ってこれないんです」と政府に両替を止められると主張して1年以上たっても出資金は戻らなかったそうです。
実際は両替ができないなんてことはないそうですよ。
キングの巨額詐欺事件について思う事
動画などを見ているとおしゃべりも上手みたいですので、言葉巧みにうまいことを言って人を引き付ける魅力はあったのでしょうね。
淋しい老後を迎えている人や、お金はあっても家族がいないとか、家族が相手にしてくれないような人にはきっととても素敵な人に見えたのかもしれません。
こういった事件があるたびに「こんなうまい話あるわけがない」「騙された方も悪い」と言われていますね。
確かにそうなのかもしれませんが、何よりもだます方が絶対に悪いに決まっていますから、高齢者側にも否があるような言い方はちょっとかわいそうですね。
だって、預けたお金はもう戻ってくる可能性はないでしょうから、これからの生活が心配ですよね。
そしてくれぐれも、「そんなうまい話は無い!!」をこころしておきましょう。